|
|
「妖精」初演 投稿日:2008年2月17日(日)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
歌劇「妖精」公演することに意義がある。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
歌劇「妖精」は、2008年2月16日(土)新国立劇場中劇場にて、ほぼ満席に近い盛況
の日本初演が行われた。当方も、ともかくひと目観ておこうと公演にでかけた。
この作品を詳しく取り上げた参考図書も少ないので、あらすじと、物語のイメージを
正確に予習して出かけた方は少なかったと思う。
ワーグナーも、若書きとはいえ「妖精」には、それなりの自信もあって、作品を破棄する
ことなく、ワーグナー初期の作品として残ったという。(生前上演の機会は無かった。)
ベートーベンやウェーバ−の音楽にそっくりだったり、筋書きは、モーツァルトの魔笛
などによく似ていたりは当然で、ワーグナーらしくないと言っても始まらない。
シェーンベルクの作品1は、まさにワーグナー色に満ち満ちており、シェーンベルク
らしさはない。人気の名作「浄夜」(作品4)だってワーグナーのパレットを使って、
書いたとも言えるが、それでも名作として独自の評価がされるのである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
要するに、人気曲として愛好されるだけの要件、印象的な要素などが、そろっているか
どうかである。
第一幕は、あらすじ以前に、終始騒がしく、力みとも取れる緊張感の連続の割には、
印象的なメロディもなく喜怒哀楽がそのまま歌になっている印象。
男性優位で、力投、力投で、緩急がないため、音楽の違和感や、聴き疲れと、退屈感が
場内を包んでいた。
隣の人は、ぐうぐういびきを掻いて寝てしまうしワーグナーを聴いて、退屈で長く感じた
のはこの第一幕が初めてである。ちなみに隣の人は、第二幕が開演しても二度と席には
戻ってはこなかった。
第二幕になると鈴木慶江のローラの柔らかな雰囲気の歌がはじめて聞こえてきて、
ようやくほっとした場面が登場する。
第二幕で、一番受けたのが、魔笛的な設定で、パパゲーノとパパゲーナに似た場面を
歌う、ゲルノート(狩人)とドロッラ(侍女)である。この脇役二人の挿入エピソード
が、全幕を通じても最も大きな拍手につつまれたのは、皮肉である。
第二幕も後半は、うつの症状を持つアリンダル王子が入っていると、話も込み入って
きて、のべつ嘆き悲しむ風情がよく判らない。聴衆と噛み合わない。
恋人の妖精アーダとの仲も一向に改善されないらしい。
人間界(小宇宙)と、妖精界(不死の大宇宙)との接近遭遇の違和感とでも言うのか、
つねに波風が絶えない感じがする。
妖精界と人間界の恋愛沙汰だから、国際結婚などをはるかに超えて、予期せぬ困難性が
多い。
霊界人「ローエングリン」と同じく、素性を尋ねてはいけないのだし、「妖精」は、
掟を破ると突然消えたり、罰を受けて突然石になったりする。
この様に人間界には起こりえない出来事に遭遇し、恋人アリンダル王子は、うろたえ、
ノイローゼ、うつ病から、廃人の域にまで達し、王位継承が困難とぎくしゃくした
交代問題に至る。
第三幕の前半にある、人間だけで神を崇める敬虔な合唱は極めてナチュラルで
感動的である。、
一方、場面転換した妖精界に、迷い込んでいるアリンダル王子と妖精アーダの関係は、
常に話も音楽もギクシャクし、アーダにも災難が降りかかる。
ところが第三幕では、話のいきさつで急転回。アリンダル王子は支援を受けて、
幾つかの試練に打ち勝つと、急に症状も回復し、妖精アーダの入り婿となり妖精国の
不死身の王になって、「めでたし、めでたし」となる。
ハンスザックスの支援で、歌合戦を勝ち抜き、エファの旦那になれた、ワルターの
ハッピーエンドにも似ているかも知れない。
あちこちのおとぎ話から再構成しているので、人間界では、起こりえないことが、
いとも簡単に起こってしまうので、筋をまじめに辿っても仕方が無いのである。
人間と妖精(霊界)の違和感は、霊界から使わされたローエングリンが、結局人間の
女性と縁が整わなかったことに、よく似ている。
伝承の、おとぎ話の題材は、みな似てくる。
ローエングリンが悲劇的結末を持つのに対して「妖精」は、「ジークフリート第三幕」
的なシチュエーションで、試練に耐え、行く手をはばむ輩を、ノートゥングもどきで
打ち破り、眠っていた姫を助けることに成功するという、大団円のハッピーエンド
仕立てである。
では「ジークフリート第三幕」そのままかというと、姫は、罰で眠っていたのではなく、
罰で石になっていたと、すこし違っている。
後年の、ローエングリン、タンホイザ−(竪琴)、ジークフリートのストーリーを
ところどころ読み替えると、元祖の「妖精」に戻れるという関係にあるようだ。
若書きの作品には、後年の作品の萌芽を認めることができるとともに、師匠とした
先輩作曲家の音色、メロディラインは方言のように、つきまとう。
オーケストラにも歌手にとっても、いわゆる名曲でない大して楽しくない音楽だが、
しっかり練習は積まれていて、オーケストラ演奏のメリハリがしっかりしており、
声もしっかり良く通っていた。しかし何とも効果が上がらないのは気の毒である。
次世代を担う、実力を認められた歌手陣でかためており、カーテンコールも予想以上に
盛り上がった。各幕でも、場内のさくら的、お声係りのブラボーもしばしば聞かれた。
しかし各幕の終わりの拍手は、周囲ではまばらで、退屈した人は、殆ど叩かなかった。
日本にとっての新曲、歌劇「妖精」は公演することに意味があり、力投だけに終わり
そうな1回目よりも、緩急の呼吸を心得た、次回公演へと、演奏が進化して楽しめる
ものになれば良いと思った。
とにかく、演じた現物を見なければ話にならない。この手の作品は、批判せず、
肯定的に、とにかく聴け。しばらく観て聴きなれたところで、批評すればと思う。
アリンダル王子の様に病に苦しむ登場人物としては、後年の「パルジファル」で、
苦悩と苦痛を耐え忍ぶアンフォルタス王に通じるものを感じた。
人間業でない説明しがたいご利益で、最後に病から開放されるストーリーも似ている。
まあ一度見て置けばおけば良いという感想だが、後年の作品との類似点などを、
少しずつ読み替えてみると、もう少し親近感が湧くのかも知れない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第81回定期公演ワーグナー「妖精」のチケット、
2月16日(土)> S席:\12000.> A席:\9000.
B席:\6000.
東京オペラ・プロデュース(主催)
〒174-0074
東京都板橋区東新町1-7-11 メゾン・ド・ミヤイ1F
TEL 03-3530-5181 FAX 03-3530-5182
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
追伸
ところで、「妖精」とはそもそもどんなキャラクターなんでしょうか、バレエ
「くるみ割り人形」の妖精なんかを想像すると、初日の福田玲子の妖精アーダは、
いかにも「オペラ歌手」の声が全面に出ていて立派なんだけど可愛くない。
ミスキャストと言っては可愛そうだが、はじめから違和感を感じました。
主に歌える場面が第1幕であるせいか、のっけからハイテンションなのも違和感の
始まりでした。
ワーグナーのFeenがどんな種類の妖精をイメージしたか勉強不足ですが、
ゴブリンなんかだと「妖精」も魔物系だったりします。
井村君江著『妖精学入門』講談社現代新書1998年では、妖精には、大きく六つの要素
が挙げられているそうなので、この際だから勉強してみたいと思います。
種類もフェ(fay)、フェアリー(fairy)、エルフ(elf)
ピクシー(pixy)、ニンフ(nymph)と様々ありそう。
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~konokatu/hatake(03-7-30)
「妖精文化」京都産業大学文化学部(畑真以子)で拝見。
では、この辺で
------------------------------------------------------
来春『トーキョーリング』再演 投稿日:2008年 2月 2日(土)15時44分10秒
来春『トーキョーリング』再演
中Chanです。
何事も無く新年を迎え、もう2月。しばらくご無沙汰していました。
『トーキョーリング』の再演開始のアナウンスに寝た子が起きた感じ。
とりあえず、キャッチした新国立劇場関連のニュースを貼り付けます。
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20000289.html
2008年1月18日記事
「2008/2009 シーズンラインアップ発表(全ジャンル)」
1月17日、新国立劇場オーケストラリハーサル室において、
「2008/2009シーズンラインアップ説明会」が行われ、説明会
では、若杉弘オペラ芸術監督、牧阿佐美舞踊芸術監督、鵜山仁
演劇芸術監督が、新シーズンへの意気込みを語ったとの事です。
http://www.nntt.jac.go.jp/set_opera/mini_series.html#day_matinee
『トーキョーリング』(2001-2004)として大評判となった
新国立劇場の『ニーベルングの指環』(序夜、第1日、第2日、第3日)。
各作品が壮大なスケールを持ち、極めて巨大な舞台で表現されているため、
本来ワーグナーが意図した一括上演を断念せざるを得ず、今シーズンは
序夜、第1日を1作品ずつ再演することとなったとのアナウンスがあり
ました。(第2日、第3日の再演時期は未定とのことです。)
2008/2009 シーズン オペラ
2009年3/7(土)〜18(水)
楽劇「ニーべルングの指環」序夜「ラインの黄金」
2009年4/3(土)〜15(水)
楽劇「ニーべルングの指環」第1日「ワルキューレ」
先々の「第2日」「第3日」公演のチケット購入権を確保する買い方もあり。
-------------------------------------------------------
http://www.nntt.jac.go.jp/set_opera/pdf/application.pdf
新国立劇場 2008/2009 シーズン オペラセット券 申込書
■受付期間 オペラセット券 先行受付
2008年3月31日(月)まで[当日消印有効]
※上記受付期間を過ぎた後は、残席のある限りシーズン開始まで
では、また、つづきなど
==============================
|
|